「釣りをしてみたいけど、必要なモノや、どこへ行けばいいかまったく分からない。だからチャレンジできない」。こんな思いを持っている「釣り人予備軍」って実はかなり多かったりする。そこで釣りエサのヒロキューがひと肌脱いでビギナーを対象にした「マイクロテンヤ教室」を開催。本誌も同行させてもらったので紹介しよう。雨の中ではあったけど、楽しい教室になりました。
取材協力/ヒロキュー
1 仕組みを覚えよう
今回の教室は釣るのはもちろんだけど「タックルの扱い方」「釣り方」を覚えることがメインテーマ。マイクロテンヤはメバルやアジ用のルアーロッドにリール、フロロカーボンラインにジグヘッドと、とってもシンプルなタックルにオキアミをセットするだけ。まさにビギナー向きの釣りだけど、それは釣りをしている人がそう思うだけ。未経験者にしてみれば、ロッドのガイドへラインを通すこともよく分からない。教室ではまずそこから講習することに。
講師の谷本昌斗さんはリールをセットして、ラインをガイドに通してジグヘッドに結ぶまでをていねいに教えていく。参加者は親子1組と女性4名。経験のある人はこのうち親子で参加したお父さんと、女性4名のうち3名。残りは釣具を触るのも初めてという超ビギナーなのだ。
ヒロキュー『ジグベイト』はマイクロテンヤ専用にオキアミを加工したもので、フルキャストしてもジグヘッドから外れにくい。またベタつきを抑える加工もされており、さっとジグヘッドにセットできる。サイズもM、L、2Lとある。足元狙いは大きめなLや2L、キャストするならMがよい
こうしてとまどいながらも自分で仕掛けを作り切った参加者たちの表情はなんだかとても満足そう。講師が全部作って渡して釣り方講座というのもいいが、こうして仕掛け作りからちょっとずつ覚えていくということも楽しく、とても大切なのだと実感する。
そしてジグヘッドにオキアミをセットする講習。「苦手なアオムシがエサかと思ったけど、これなら平気で触れます!」と釣り経験があるけど虫エサは苦手という神笠真弓さんはひと安心(笑)。谷本さんのアドバイスに従ってフックへセットし、ついに仕掛け完成。いよいよ実釣講座に移っていく。
※1 釣り経験がなくても釣りに興味がある人は多い。今回はそんな人が対象だった
※2 釣り場は広島市西区にある「観音東側桟橋」を会場とした
※3 ジグヘッドへの付け方が重要なので講師のアドバイスを真剣に聞く中本さんと神笠さん
2 足元狙いから
まずは仕掛けの投入法から講習。キャストしてもいいが、足元で底まで落とし込んでもマイクロテンヤはOKなので足元狙いからチャレンジしましょうと谷本さん。
「へぇ~、簡単なんですね! これならホント自分だけでもできそう☆」 そう言うのはマイクロテンヤは初チャレンジの平川由起子さん。
全員で足元まで沈めて波止際を歩きながらちょんちょんと探っていく。オキアミが魚の目に入れば食ってくるはず……だったが、この日はエサ盗りのフグらしき魚がアタるもののハリに掛かるまでには至らない。
「うーん、早アワセでも掛からない。魚の活性がかなり低いですね」
谷本さんも予想外の展開。実はこの釣り場で前釣りをしており、足元を探ればエサ盗りではあるが、フグやハオコゼなどなにかしらヒットしていたという。この日はボウズなしと見込んでいたそうだが、まさかの展開である。
「あっ、つついてる!」
でもそんな講師陣の不安はどこ吹く風。自分の操る仕掛けに魚が反応する感触はビギナーには楽しいようでみんなエサ盗りとの会話を楽しんでいた。
※1 仕掛けがよく飛ぶのでみんな驚いていた
※2 波お手本でサクッと釣ってみせてくれた谷本さん
※3 釣った魚を間近ではじめて見る小林ゆかさん。これも釣りをするうえで大切だ
※4 粘ったかいあり? 神笠さんは小型のカ サゴをキャッチ。「フグかと思いましたよ~」とのこと
※5 釣り経験者の中本香織さんは、キャストも誘いもうまかった。魚の活性が低くて苦戦したが楽しんでもらえたようだ
3 沖を狙おう
足元で釣れないので今度は沖を狙ってみることに。谷本さんがお手本でキャスト。3gのジグヘッドが20m以上飛んでいくので参加者たちは驚き。もっとも驚いていたのは投げ釣り経験がある神笠さん。なんでも投げ釣りで使ったオモリは25号だったので重量でいえば約30倍の差があるからだ。
「わたしもがんばって飛ばしてみますね!」
※1 だんだん投げるのがうまくなってきた。3lbのフロロラインに3gのジグヘッドならけっこう飛ばせるのだ
※2 「あっ、つつかれてます」とアタリの感 触が分かるよゆうになった平川さん
神笠さんがキャストするとうまく飛んでいく。谷本さんからもOKが出る。みんなで並んで底を手前へ探りながら引き寄せてくると、まずは谷本さんがカサゴをヒットさせた。「やっと釣れました。広く探していく感じですね。それなら食ってくれますね」とのこと。
とはいえきちんと投げないとヒットしない。最初はベイルを戻し忘れていたり、ラインを離すタイミングがズレたりして飛ばなかったが、講師の指導もあってだんだんとキャストがうまくなっていく。そして神笠さんと平川さんがカサゴをキャッチ。小さいけれど自分で投げて自分で釣った、マイクロテンヤでのうれしい1匹だ。
その後も時間いっぱいまでがんばる予定だったが、雨が強くなったところで早めの納竿とした。
平川「もっとむずかしいと思っていました。けっこう簡単だったので、とっても楽しかったです。これでもっと釣れるとさらに楽しいんでしょうね」
神笠「釣りがうまい人ばかりのなかに入ると気おくれしますけど、同じくらいの釣り経験の人と一緒に竿が出せたので気楽に楽しめました。また自分でもマイクロテンヤをやってみようと思います」
※1 タックルは全員ほぼ同じ。エサは『ジグベイト』だ
※2 参加賞としてキャップ、水汲みバケツ、バッカン、ステッカーが贈られた。「これでまた釣りに行きます!」と神笠さん
小林「投げるのがだんだんうまくなっていくのが分かったのと、エサをつつかれる感触と魚の引きが体験できました。これも釣りの楽しいところなんですね」
雨の中、しかも魚の活性が低いという厳しい釣りだったので楽しんでもらえたかどうか不安だったが、どうやら思い過ごしだったようだ。もし周りに「釣りをしたい!」という人がいたらマイクロテンヤに誘ってみよう。こんなふうに楽しんでくれるはずだ。